これからどうする?

タイトル無かったが、これからどうする?

ファスト&スロー【読んだよ】

ファスト&スロー (上)

ファスト&スロー (上)

ファスト&スロー (下)

ファスト&スロー (下)

オススメされてるだけあっていい本ではあった。上下とあるので長いよ。感想も引用も長い。

例えばあなたが7つの数字を見せられ、これを1分か2分覚えているように、と言われたとしよう。しかも、数字を覚えてことが最優先事項だ、申し渡されたとする。こうしてあなたが数字に注意を集中してるところに、2種類のデザートからお好きな方をどうぞと、言い渡されたらどうだろう。片方はいかにもカロリーのたかそうなチョコレートケーキ、もう一方はあっさりしたフルーツサラダである。この実験から、頭が数字でいっぱいの時には誘惑の大きいチョコレートケーキを選ぶ確率が高いことが確認された。システム2が忙殺されているときには、システム1が大きな影響力を持つようになる。そしてシステム1は甘党なのである。

ここでいうシステム1が速い思考であり、システム2が遅い思考である。

  • システム1は自動的に高速で働き、努力はまったく不要、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
  • システム2は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けれらることが多い。

認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断しやすいことも確かめられている。頭の中で数字を覚えて繰り返してることに忙殺されて、システム2が行動ににらみを効かせられなくなるためだ。もちろん、認知的負荷だけがセルフコントロール低下の原因ではない。睡眠不足や少々の飲酒も同様の効果をもたらす。朝方の人のセルフコントロールは夜になるとゆるむ。夜型の人逆になる。今やっていることがうまくいくだろうか心配しすぎると実際に出来が悪くなることがある。これは余計な心配で短期記憶に負担をかけるからだ。結論ははっきりしている。セルフコントロールには注意と努力が必要だということである。だからこそ思考や行動をコントロールシステム2の仕事になっているのである。

消耗が判断力に及ぼす悪影響を調べた実験の結果が、最近「米国科学アカデミー紀要」で発表された。イスラエルで行われた実験で、そうと知らずに被験者になったのは、8人の仮釈放判定人である。彼らは一日中、仮釈放申請書類の審査をしている。書類は順不同で提出され、審査にかける時間は平均6分という短さである。(中略)実験では決定に要した時間とともに、判定に与えられた3回の食事休憩、すなわち朝、昼、午後の休憩時間も記録された。そして休憩後の経過時間と許可件数の比率を算出したところ、各休憩直後の許可率が最も高く、65%の申請が認められた。その後は次の休憩まで2時間ほどの間に比率は一貫して下がっていきm次の休憩直前にはゼロ近くになった。

これは好ましくない傾向ですね、と。

認知しやすい快楽

発音しやすい言葉も好感度が高い。株式公開直後1週間は発音しやすい名前の会社のほうが、そうでない会社よりも株価が上がる。

「モーゼは何組の動物を箱舟に乗せたか」

この質問のまちがいに気づく人は、極めて少ない。このためこの質問は「モーゼの錯覚」名付けられている。

私もわかりませんでした(笑)何組ぐらいなんだろ?と真剣に考えてしまいましたね。みなさんは分かりますか?

フリッツ・ハインダーとマリアンヌ・ジンメルの動画

はこれですね。

www.youtube.com

大きな三角が攻撃的で、小さいな三角、丸をいじめている、ように見える。こういう印象はシステム1によってもたらされる。自閉症の被験者はこういう感じを抱かないらしい。

意識して疑ってかかることは、システム1のレパートリーには入っていない。

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上記、Bも13も実は同じ文字?なのだが、たった1つの解釈しか頭には浮かばない。

ハロー効果

さてあなたは次の二人の人物のうちどちらが好きだろうか?

  • アラン: 頭がいい、勤勉、直情的、批判的、頑固、嫉妬深い
  • ベン :嫉妬深い、頑固、批判的、直情的、勤勉、頭がいい

何も考えずに受けた印象だと、私もアランのほうが好ましく感じた。二人の違いが分かるだろうか?

質問の置き換え

難しい質問に対してすぐには満足な答えが出せないとき、システム1はもとの質問に関連する簡単な質問を見つけて、それに答える。もともと答えるべき質問を「ターゲット質問」、代わりに答える簡単な質問を「ヒューリスティック質問」と呼ぶことにする。

心理学は教えられるか?

人助け実験、結果を予測するのが難しい。結果と概要を話しても「ビデオで見てあんな感じのよい人たちは、すぐさま助けに行ったに違いない」「自分自身(および友人知人)はそういうことをしない」として、何も知らない場合と予測は変わらなかった。 が、ビデオに出てきた二人の人物はどちらも助けに行かなかった、と伝えると実験結果を極めて正確に予測した。 驚くべき統計的事実を示しても何も学ばない。だが驚くべき事例(あんなに感じのよい二人が助けに行かなかった)には反応し、ただちにそれを一般化して、人助けは自分たちが考えていたより難しいのだと推論することができた。

平均への回帰

褒めても叱っても結果は同じ。全くの偶然や難易度が高すぎることは、不出来だったあとはよくなるし、上出来だったあとまずくなる。平均へと回帰するからなのだ。

  • 上手くいった時に褒める→次は上手くいかないことが多いので褒めてもしょうがない
  • 不出来な時に叱る→次は上手くいくことが多いので、叱ると良い効果があるように思える

  • 非常に頭のいい女性は、自分より頭の悪い男性と結婚する

上記も平均への回帰だと分かるだろうか?

後知恵の社会コスト

中央情報局(CIA)は2001年7月10日にアルカイダがアメリカに対して大規模な攻撃を計画しているらしいとの情報を入手した。テネット長官はこの情報をジョージ・W・ブッシュ大統領に報告しなかった。ただし、国家安全保障問題担当顧問のコンドリーザ・ライス大統領補佐官には伝えた。事後になってこの事実が判明するとワシントン・ポスト紙の伝説的な編集長ベン・ブラッドリーは、「歴史を変えるような情報を入手した場合には、ただちに大統領にも伝えるのが基本中の基本だと私には思える」といったものである。だが、7・10の時点では、この断片的な情報が歴史を変えることなど誰も知らなかったし知る由もなかった。

直感vsアルゴリズム

ドーズは複雑な統計的アルゴリズムにさほど付加価値がないことに気づいた。役立ちそうな予測因子をいくつか選び、比較評価ができるように数値を調整するだけで、同程度の遅くができる。

例として下記の方程式があげられています。

  • セックスの回数 - 喧嘩の回数

これがマイナスになると離婚の危機。分かりやすいですね。

計画の錯誤

リスクを伴うプロジェクトの結果を予測するときに、意思決定者はあっけなく計画の錯誤を犯す。錯誤に囚われると、利益、コスト、確率を合理的に勘案せず、非現実的な楽観主義に基づいて決定を下すことになる。利益や恩恵を過大評価してコストを過小評価し、成功のシナリオばかり思い描いて、ミスや計算違いの可能性は見落とす。その結果、客観的に見れば予算内あるいは納期的に収まりそうもないプロジェクト、予想収益を達成できそうもないプロジェクト、それどころか感性もおぼつかないプロジェクトに邁進することになっていまう。

非現実的な楽観主義に基づいてプロジェクトの意思決定をしてしまう。。これは耳が痛いですね。陥りがちな錯誤ではないでしょうか。これの対策は、本書からいけば、

  • 経験に基づく意見、統計から得られた客観的な数値をバイアスなしに勘案する

ということでしょうか。

楽観主義

楽天家が私たちの生活で果たす役割は、普通の人と比べてはるかに大きい。彼らの決定は大きな変化をもたらす。彼らは発明家であり、起業家であり、政治や軍の指導者であって、そこらの人間とはちがう。彼らがその地位に就いたのは、自ら困難を探し、リスクをとったからである。

普段の行動から逸脱した行動を起こすには、結果に対しての後悔を軽く見積もれる人=楽天家、であることが非常に有利に働く。リスクを取った行動を起こす回数が多いのだから、成功する確率も高いだろう。Be positive!

が、もちろん会社などで行き過ぎた楽観主義があると、上記の計画の錯誤を起こす懸念が高まる。

死亡前死因分析

組織であれば、楽観主義をうまく抑えられるかもしれない。また個人の集団よりは、一人の個人のほうが抑えやすいだろう。(中略)何か重要な決定に立ち至ったとき、まだそれを正式に公表しないうちに、その決定をよく知っている人たちに集まってもらう。そして、「いまが1年後だと想像してください。私たちは、さきほど決めた計画を実行しました。すると大失敗に終わりました。どんなふうに失敗したのか、5〜10分でその経過を簡単にまとめてください」と頼む。くらいはこの方法を「死亡前死因分析(premortem)と名付けている。

このような会議が行えれば、まさに経験が生きるところ、客観的に決断しうる場となることだろう。

死亡前死因分析には、大きなメリットが2つある。1つは、決定の方向性がはっきりしてくると多くのチームは集団思考に陥りがちになるが、それを克服できることである。もう1つは、事情をよく知っている人の想像力を望ましい方向に解放できることである。

チームがある決定に収束するにつれ、その方向性に対する疑念は次第に表明しにくくなり、しまいにはチームやリーダーに対する忠誠心の欠如とみなされるようになる。とりわけリーダーが、無思慮に自分の意向を明らかにした場合がそうだ。こうして会議的な見方が排除されると、集団内に自信過剰が生まれ、その決定の支持者だけが声高に意見を言うようになる。死亡前死因分析のよいところは、懐疑的な見方に正統性(引用注:正当じゃないか?)を与えることだ。さらに、その決定の支持者にも、それまで見落としていた要因がありうると考えさせる効果がある。

楽観主義からプロジェクトを救うことができる手法として非常に効果的ではないだろうか。これはやってみたい。本書ではこう記されている。

「われわれは死亡前死因分析をやるべきだと思う。そうすれば、われわれが見落としていたリスクに誰かが気づくかもしれない

マイナスの優位性

嫌悪感にくわしい心理学者のポール・ロジンは、サクランボが山盛りになった器にゴキブリが1匹いただけで台無しだが、ゴキブリがいっぱいのバケツにサクランボが一粒混じっても何の感情も引き起こさない、と指摘する。ロジンの言う通り、いろいろな意味でマイナスはプラスを圧倒するのであって、損失回避も、そうした一般的なマイナスの優位性の一種と言うことができる。

リスクを伴う決定を統合的に扱う

プロスペクト理論でよくあるやつ

決定1 次のいずれかを選んでください。
A 確実に240ドルもらう。
B 25%の確率で1000ドルもらえるが、75%の確率で何ももらえない

決定2 次のいずれかを選んでください
C 確実に750ドル失う
D 75%の確率で1000ドル払うが、25%の確率で何も失わない

これらを選択すると、人はA、Dを選びがち、というのはプロスペクト理論の代表的な話だが、上の二つの決定を同時に行え、と言われた場合もA、Dを選択してしまう。 B、Cを選択した場合のほうが、A,Dを選択したときよりも期待値を上回る。 視点を高く持って選択しなくては、間違いを犯してしまう。本書では広いフレーミングと呼んでいる。

デフォルトの選択肢と、デフォルトから乖離した行動

デフォルトから離れた行動をとって悪い結果が出た場合には、ひどく苦痛を味わうことになる。たとえば株を持っているときのデフォルト選択は売らないことであり、朝同僚に出会ったときのデフォルト選択は挨拶することである。株を売ったり、朝同僚を無視したりするのは、どちらもデフォルトからの乖離であり、後悔や非難の対象になりうる。

非常に腑に落ちる話である。勇気ある行動!というのもまさにこういうことではないか。普通に行動するのが楽なのは間違いないが、そこから逸脱した行動を行うのは痛みが伴う。そこを超えて行動するものが勇者なのだ。

ファスト&スロー、いい本だった。これは本棚行き。

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学【読んだよ】

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)

時間がないあなたはどうすればいいのか?という自己啓発的ビジネス書かと思ったら全然違くて行動心理学的な本であった。

トンネリング

消防士の死因として心臓発作の次に交通事故が多いとする推定もある。(中略)通報を受けて急いでいる消防士は時間の欠乏に直面する。彼らは迅速に消防車に乗って火事現場に到着しなくてはならないだけでなく、現場に到着するまでに、さまざまな準備を整える必要もある。

あまりにも多くの準備がいる消防士、その準備は完璧にこなすがその作業に集中するあまりトンネリングを起こしている(トンネリングとはトンネル視を連想させることを意図した表現)。そしてシートベルトを締め忘れてしまうらしい。

キャビネット・キャスタウェイ

キッチンにいって食品庫を見てみよう。多分ずっと前に買った品物で溢れているだろう。米国中のキッチンキャビネットは長い間使われていないスープ類、ジャム、そして缶詰でいっぱいだ。これ現象はよくあることなので食品研究者が名前をつけている。そういう品物を「キャビネット・キャスタウェイ(見捨てられたもの)」と呼ぶのだ。

スラック(余裕)があれば人は自由にキャスタウェイを作ることができる。スラックはただの無駄を生むのか、というとそうでもない。スラックは失敗する余地も与えてくれる。買うお金、置く場所がなければ失敗したものを買った時にも、それについてグチグチ悩む必要がない。悩みは認知の欠乏に繋がる。でも無駄なものを買ってもいいかというとそうでもないですよね(笑)

大きいキャップ

洗濯洗剤用のメーカーはかなり前に、人は容器のキャップが大きいほうがたくさん洗剤を使うことに気づいた。

味の素の話を彷彿とさせる。それは都市伝説らしいですが。大きいキャップは途中に分量の線ががあるが、(小さいキャップに満杯に入れるのと比べて)相対的には少なく見える。そのためにもう少し注いでしまうとか。私でもちょっとだけ多めに入れちゃいます。 この本で通して言われる認知という面でみると、キャップの満杯まで入れてたほうがトレードオフを起こさずにすむので、認知を使わずに済みますし思考として楽なんでしょう。

車輪引き上げ事故

第二次世界大戦中、アメリカ軍は度重なる航空機の車輪引き上げ事故に悩まされた。着陸のあと、パイロットがフラップではなく車輪を引っ込めてしまうのだ。想像がつくと思うが、地上で飛行機の車輪を引っ込めるのはいただけない。

そりゃそうだ。輸送機では起きてなかったこの事故。爆撃機のパイロット特有のもので、やはりストレスがすごいからか、などと思われていたが、

爆撃機の場合、車輪制御装置とフラップ制御装置は隣り合わせになっていて、ほとんど同じに見える。それに対して輸送機では全く異なる制御装置になっている。

と、ただ単に装置が間違いを起こしやすいものだったからでした。パイロットをどれだけ訓練してミスの少ない優秀なパイロットを育成しても事故は避けられない。

処理能力は高くつく

子供の健康診断のための特別手当給付を利用するためには、親は予約をしてそれを忘れないようにして、往復するための時間を見つけて、子供を無理やり連れて行かなくてはならない。これらのステップそれぞれに処理能力が必要だ。そしてこれらは行動の1つにすぎない。(中略)そのインセンティブを理解し、必要なトレードオフをするーー自分にとってやる価値があるのはどれで、どれでないのか、いつやるかを判断するーーだけでも処理能力が求められる。

この本に通じて出てくる、貧困者救済の話。貧困ゆえに処理能力が欠乏している、明日の食べ物、資金繰り、借金など、考えること、処理能力を使うことが多くありあすぎる。誰しも、スピーチの前の晩などは寝付けないものだ、と本書にある。

下記はドミニカ共和国で行ったマイクロファイナンス機関での話。顧客は雑貨屋や美容室や飲食店など、小規模事業主。

ADOPEMは、顧客が帳簿でミスをしていて、大半の人が財務のことをあまり理解していないのではないかと考えた。解決策は単純に思われる。財務知識の教育だ。そこでショアーは世界中の零細事業主が通常与えられるような、標準的な財務知識研修モジュールを入手した。教材を見た彼女のリアクションは「うわっ、なんて長ったらしいのかしら!(マサチューセッツ工科大学の財政学教授である彼女してそう思わせるほどのものなのだ)(中略)処理能力に制約のない世界では、この全てが知っておく価値のあるものだ。

ありがち。

彼女は地元でトップの事業主だけを集め、彼らが財務をどう管理しているのか調べた。彼らも複雑な会計処理に取り組んでいるわけではなかったが、あまり成功していない事業主がやっていないことをやっていた。すなわち、優れた経験則に従っていたのだ。例えば店の売上金をひとつのレジスターにいれて、そこから自分自身に固定給を払っている人が数名いた。こすれば、家庭のお金と事業のお金を混同し、家計にいくら使っていて事業でいくら儲けているか判断しにくくなるの防ぐことができる(数人の女性は、現金の束をひとつはブラの左のカップに、もうひとつは右のカップにしまっていた)

こうしためぼしい経験則を集め、それにもとづく新しい「財務教育」の授業のほうが使われる処理能力はずっと少なく、わかりやすい。

処理能力は生み出せる

貧困者がいちばん求めているのは金貸しが容易に提供できるもの、すなわち、緊急のニーズに対応するために、すぐに借りられてすぐに返せるような小額のお金である。ところが貧困者に提供される融資は、正反対の方針にもとづいて組まれることが多い。ある程度まとまった額のお金が慎重に時間をかけて提供される。そのような融資は投資には役立つかもしれない。しかし火消しに忙しい人たちには、投資するための処理能力などない。であれば、きちんとしたマイクロファイナンス機関があるにもかかわらず、人々がやはり金貸しのところに行くことを選ぶのは意外でもなんでもない。

なので平均10ドル未満の短期の小額ローン商品を試したところ、かなりの需要があったとのこと。その商品は富を築くのには役立たない。人々を起業家にすることはできない。表面的には、人生を変えられるような金額には見えない。それでも人生を変える可能性がある。

目の前の火をなんとかするために高い手数料のローンを提案するのだ。このローンはトンネルの中では魅力的であり、その高い手数料を使って貯蓄口座を作ることができる。

こういうアイデアは素晴らしいですね。

処理能力を効率的に使う

トレードオフは処理能力を使う。

忙しい人は家族や友達と過ごす時間を切望する。その時間を多忙なスケジュールに押し込むのは難しく、結局は案の定ほったらかすことになるし、たとえ押し込んでも心ここにあらずで、代わりにできたことについてあれこれ考えているので、大抵は楽しくない。

あるあるですね(笑)

欠乏のためのトレードオフを救済する策として、私たちの知る限り最も賢明な方法はユダヤ教の安息日である。安息日は昔からある概念だ。安息日には働かず、メールも、執筆も、料理も、車の運転さえしない。多くの人が長年経験していないような、静けさと安らぎと再生の日である。安息日は少なくとも二つの理由でうまくできている。ひとつは選択肢もジレンマもないことだ。休むこと以外は何もない、トレードオフのない日である。

もう1つは毎週同じ時間、金曜日が終わったときに始まることだそうだ。計画する必要がない。決めれたことに従うというほど楽なことはないですからね。

最後には欠乏も集中するために使える、というくだりがある。

締め切り直前に時間が足りなくなる人多い。なぜなら、その前に時間がふんだんにあった期間を無駄に過ごしていたからだ。私たちの学生は論文を締め切り前の2日で書くことになるのだが、たいていはその前の数週間は時間がたっぷりある。

これもあるあるですが、結局欠乏の原因となるのは、豊かなときにどう行動するか、ですね。

知らないうちに1日が過ぎていく休暇中の人が経験する、時間管理の問題の縮図である

上記を休日にメモしている私は、有効に休暇を使えているだろうか?という思考のトレードオフに陥りながら筆を置くこととする。

最後にこの本を2行で纏めると

  • 処理能力やお金など、自分の持っているものが豊かなときに、後の欠乏に備えておくべし。
  • 何かを解決するシステムを作るときには、処理能力などが無限にあると考えず、欠乏に注意を払うべし。

でしょうか。

しかしこの本も読みにくい本!なぜか読みにくい。淡々と進むからか?原書もこんな感じなのかな、と思う。しかし良本なので手元に置いて、時々読み返したい。オススメです。

フューチャー・オブ・ワーク【読んだよ】

フューチャー・オブ・ワーク (Harvard business school press)

フューチャー・オブ・ワーク (Harvard business school press)

インターネットなどの発達によって組織構造が変わっていくよ、分散化しやすくなるよ、という本。

最近良い本でも読みにくい本は読みたくなくなってきたが、その代表格と言える。私の理解力が低いだけかもしれないのだが……。巻末だけ読めば十分かもしれない。

エゴブー

Linuxが例にあげられてます。

例えば多くのプログラマーは自分のプログラムがLinuxのシステムに採用されれば認められたと感じ、誇りに思う。それが彼らにとっては大切なのだ。技術の世界には、このことを表す単語さえある。エゴブーというのがそれだ。エゴブースト(自負心の高揚)を縮めたエゴブーとは、仕事うまくやって賞賛されることから得られる満足感をさす。もちろん、エゴブーはどんな仕事においてもモチベーションになるが、集中化された階層制組織の多くでは、その効力は過小評価されている。意思決定を委譲し人々の価値観を保証することにより、ゆるやかな階層制は、伝統的企業よりもはるかに大きな集団から、莫大な創造性とエネルギーを引き出すことができる。

伽藍とバザールとかでも出てくるLinuxは、やはり分散化組織の代表格ですね。本書ではLinuxをリーナス・トーヴァルズをトップとしつつも、決定権が非常に低い階層に委譲されている、「ゆるやかな階層制組織」だとされています。

AESの話

http://ussto.com/stock/AES

2人の創業者は楽しむために1番いい方法は、世界において真に重要なことに責任を持つことだ信じている。何かに対して責任を負えば、たいていは、それに愛情や頭脳や情熱を注ぐ。それはただ命令に従うだけでは決して起こらないことだ。

違いない。

1999年の終わりに、イギリスのドラックス石炭火力発電所を買い取ったときだった。だが、バッケは言う。「あの決定は私がしたのではない。入社2年にもならない、それまで私が会ったこともない社員が決定したのだ」この決定を行った若い社員は、会社中のあらゆる種類の人間からーーほとんどは電子メールでーーアドバイスを受け取った。だが、最終的に取引を行うかどうか、そして、提示額を決めたのは彼だったのである。

と、まあ事例もよく載っていて良い本だと思うのだが、面白い本とは言い難くお勧めはしない。

色々読んだけど、メモする時間がなかった本たち

色々あるので軽く。

不道徳教育講座 (角川文庫)

不道徳教育講座 (角川文庫)

三島由紀夫もこういうエッセイっぽいの書いてたんだな、と。どうも特別視してしまいますが。これに出てくる銀座の女学生の話は現代でも通じるヒドさ。

自分を操る超集中力

自分を操る超集中力

DaiGoは好きだけど、どうも内容が薄くなってきたな。多筆だとしょうがないんだけどね。

ミシェルウェルベックは本当最近お気に入り。ブームになったのも頷ける。

町人貴族 (岩波文庫 赤 512-6)

町人貴族 (岩波文庫 赤 512-6)

人間嫌いのほうがモリエールっぽいけど、こういうのも嫌いじゃない。しかしこんな時代から現代に通ずるものがあるんだからすごいのか人間は進化してないのか。

マネーボール【読んだよ】

マネー・ボール〔完全版〕

マネー・ボール〔完全版〕

みんな大好きマイケル・ルイスセイバーメトリクスの話は至る所で出ているので、新鮮味はそれほどなかったがそれはしょうがない。偉大な本だということの証左ですね。

学びを得たのは「客観的判断の手法を取り入れる」という部分であり、そんなことはわかってるよ!となりそうなものだが、実際には

など、それは客観的判断を取り入れたということにならない場合が良くあるということ。

それにしてもビリージーンの下では働きたくない(笑)、という感想と、ブラッドピットがキレた演技をしているのを想像し映画も見たくなった。

さて、自分のビジネスに取り入れるにはどうしたららいいか。まずはデータを取得するところから始めるのは変わらないだろう。データ分析を始めるにはデータが必要なのだから。 シンプルなデータだけでもいい。知識と知恵を得て、客観的判断を出来るようになっていこう。

大前研一 戦略論【読んだよ】

大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点

大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点

タイトルに名前が入ってるってすごいブランディング力だよね。

もう一つの問題は、新しい市場に参入した事業が収益を上げ始めたとたんに、本社に起こる事態である。そうなると、たいていの企業では本社のだれもが新市場に関心を持ち、注目し始める。なぜ物事がうまく回るようになったのかを本当に理解しないまま、本社の経営陣は、それが日本にせよどこにせよ強い関心を持ち始めるのである。 そして、本社のすべての職能分野の担当者が、介入したくてたまらなkなる。本社の重鎮たちは、自分たちも関わったほうがよいと考え、現地の活動をすべてモニターし、報告書をタイムリーに出すように求め、現地出張を繰り返す。いまや全社的に見て重要な地位を占めるようになった現地事業に、だれもが発言権を持とうとするのである。

これは単に心構えの悪さや誤解に基づいた熱意に起因するものではない、と。システム、組織機構、行動パターンによってこういった問題が生まれるのだ。事業部ごとの目標設定であったり財務諸表ばかりに過剰に依存したりといった仕組みにより、グローバルな経営ができなくなってしまう、と本書にはある。

  • 人間心理に従って会計システム 経営者が「Do more better」という楽な道を選ぼうとしてしまうのは身についた習慣をなかなか変えられないからだ。また別の理由として、ほとんどの会計システムやインセンティブが習慣に反して作用することも挙げられる。例えば、企業会計制度をよく見れば、その企業の管理職がどのような行動をとるのか想像できる。経営陣は、会計システムを無視して変更させることができるが、中間管理職はそうではない。彼らは顧客に近い場所にいて、日々なんらかの判断をしている。私はこれまで自社のシステムを無視して大丈夫だから同じようにやれ、と命じる社長を大勢見てきた。皮肉なことに、このような命令に従い、それを実行できるのは社長の他には存在しない。

本書の例にのっている、cash registerメーカーの報酬システムの話や短期的な業績に対してインセンティブがある場合などの問題が載せられている。まあ普遍的な問題ではあるが、その罠に陥っていない企業のほうが珍しいのでないか。

概ね良書である。

コピーキャット【読んだよ】

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

イノベーションとイミテーターでイモベータ

  • 模倣は大事。 ライト兄弟はイノベータだが、鳥を模倣したと言える。

  • 帰ったらTVを付ける人の幸せを最大化するKPI バラエティをつければ、ストレス解消 ドラマをつければ、心が沸き踊り ニュースをつければ、知識がアップする しかし、TVを消すという選択肢もあるのではないか。上記のKPIをいくら調整したところでたかが知れている。

中身を模倣しなければいけない、そういうことですね。